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令和2年6月11日
コンピュータで文字を入力すること
 
臨時休業期間に児童1人1台のPC(Chromebook)を,ご家庭の状況に合わせて活用していただきました。とにかくこれまでにない取り組みでしたから,子どもたちも保護者のみなさまも様々な思いを抱かれたことでしょう。前回の記事にも書きましたが,先を見越した「試み」という意図もありました。成果も課題も,今後に生かしていきます。ご協力ありがとうございました。
 
ところで,貸出を受けている「Google for Education 遠隔学習支援プログラム」のご厚意で,児童1人1台のPCは7月末までお借りできることになりました。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想の実現」に基づいて,笠岡市教育委員会も今年度中に児童生徒1人1台PCは実現する方向で動いていますが,そのような環境を1学期中限定ではありますが,今井小学校では実現しています。新型コロナウイルス感染症第2波による「臨時休業」が発生した場合に備えての準備,ということにとどまらず,今年度から実施されている新しい学習指導要領においては,この1人1台PCは必須の教育環境でもあるからです。
 
経済協力開発機構(OECD)による国際的な学習到達度に関する調査「生徒の学習到達度調査(PISA)」2018年の調査結果(2019年12月発表)において,日本の子どもの「読解力低下」が大きな話題となりました。そして,そのことを裏付けるような「ICT活用調査」の結果も,同時に明らかになっています。詳細は,例えばここの記事に分かりやすくまとめられているので,関心のある方はぜひお読みください。
 
その調査結果から分かる,日本の学校や子どもたち(今井小も今井小児童も例外ではありません)の状況は,次のようなことです。
  1. OECD加盟国の中で,「デジタル機器をもっとも授業で利用していない」のは日本の学校である
  2. OECD加盟国の中で,「もっともコンピューターを使って宿題をしていない」のは日本の子どもたちである
  3. OECD加盟国の中で,「1人用ゲームで遊ぶ」「ネットでチャットする」ことについて,もっとも利用割合が高いのは日本の子どもたちである
この調査結果には,文部科学省も衝撃を受けたようです。なぜこうなってしまったかという原因を追究・説明することは専門的な立場の方々に委ねるとして,今私たち学校関係者は,目の前にいる子どもたちの将来を心配して,今後この状況を何とか改善しなければならない,という強い思いを抱いています。保護者の皆様から,臨時休業期間に「うちの子どもはPCでゲームばかりしていて…」というお声をいくつか頂戴しましたが,この調査結果から,ある意味「そういうことか」と思っていただける,そんな状況が発生していたということでしょう。ですから,この状況にとどまっていてはいけない!という思いを,ぜひ保護者の皆様とも共有したいのです。
 
とにかく,PCやスマホが「遊び道具」にしかなっていない子どもたちの状況を,「学習の道具として有効活用させる」ところへと向かわせたい。それは国際的に見ても当たり前の姿である,ということをどうかご理解ください。
 
この4月から実施している新小学校学習指導要領 総則 には,次のようなことが書かれています。
 
 各教科等の特質に応じて、次の学習活動を計画的に実施すること。
 
(ア)児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習を基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
※一部抜粋
 
旧学習指導要領においても,全く触れられていなかったわけではないのですが,ここまで明確に「キーボード入力ができるようになること」が求められたのは,今回の学習指導要領からです。つまり,例えば国語の授業でキーボード入力を行って文章を書くことは,特殊な活動ではなく一般的に行われて良い活動,ということです。誤解のないように申し添えますが,ノートに鉛筆で文章を書くことを否定しているのではなく,それはこれまでと変わらず重要です。学習手段の一つとして選択肢の中に,PC活用が入ってきたということです。私たち大人だって,紙に文字を書くこともPCで入力することも,現状では両立させています。子どもたちも同様であるということです。1人1台のPCで入力すると,学級全体で1人1人の書いたものを共有しやすくなり,それらを活用した話し合いも深めやすくなります。書き加え・書き直しも簡単にできます。そういう意義や価値がある場面で,上手にPCを子どもたちに使わせるのが,私たち学校関係者の腕の見せ所であり,今後の課題であるということです。
 
PCのキーボードで文字を入力することは,主として3年生以上で想定されています。3年生でローマ字学習をすることと深いかかわりがあります(1,2年生がキーボード入力をしてはいけないわけではありません。実際,できるようになることはそんなに難しいことでもありません。)。ただし,小学校には教科の指導内容として「キーボード入力を教えること」は位置づけられていません。でも,ある程度慣れていかないと,上達もしません。文部科学省は平成25年度に小5と中2対象(笠岡市の子どもは抽出されませんでした)の「情報活用能力調査」を実施しましたが,その際の小学生は,1分間で「平均5.9文字」しか入力できなかったという結果が出ています。こんなレベルのスキルでは,PCが「学習の道具」として機能しません
 
教科の指導内容には含まれないけれど,小学生のキーボード入力のスキルアップは必要なことなので,世の中では様々な取り組みがなされています。支援するウェブサイトやシステムもあります。そんな中から,今井小学校の子どもたちには,「キーボー島アドベンチャー」というサイトを使ったトレーニングに挑戦させることにしました。このサイトは,オープンして17年もたつ「老舗」で,過去においても多くの小学生が登録して利用してきました。毎年4月にリセットされるのですが,例えば昨年度は22万人近い小学生が登録していました。
 
雨天の日の休憩時間などには,すでに高学年を中心に子どもたちの利用が始まっています。このサイトは,「ゲーム感覚」でキーボード入力のスキルを30級~初段までレベルアップさせていく設定となっています。きっとそう遠くない将来,「初段・キーボー島名誉島民」へ到達する子どもも現れることでしょう。
 
PCで文字を入力できるようになることが最終目的なのではなく,あくまでPCを学習の道具として有効に活用できるようになり,学力向上に寄与することが目的です。インターネットに接続されたPCであれば,ご家庭からでも使えます。もし,ご家庭で子どもが「キーボー島アドベンチャー」に挑戦しているようであれば,ここに書いたような趣旨を踏まえた取り組みであることをご理解いただき,見守っていただければと思います。もちろん,長ーい時間をかけてやっているようであれば,健康上よろしくありません。ご家庭で決められた「ルール」に則って,適正な活用をさせていただければありがたいです。