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令和2年10月19日
マイクロステップ・スタディの取組開始
 
先週木曜日(10月15日)から,本校5,6年生において,マイクロステップ・スタディの実践を開始しました。これは,岡山大学 教育学研究科 実践データサイエンスセンターが推進する,教育ビッグデータの技術を活用した新型e-learningです。私の力で専門的な説明を正確に行うことは難しいので,このことについての詳細は,ウェブサイトをご覧ください。この研究成果は,日本e-Learningアワードにおいて2019年度の「文部科学大臣賞」を受賞しています。私は,去る7月4日(土),東北大学大学院情報科学研究科 情報リテラシー教育プログラムが主催する「情報リテラシー連続セミナー」に参加し,この研究を中心になって担われている岡山大学大学院教育学研究科 寺澤孝文教授のご講演を拝聴した際に出会わせていただきました。以後,寺澤先生や寺澤研究室の皆様といろいろ協議し,今井小学校で実践させていただくためのご協力を得ることができました。
 
実際に今子どもたちがやっていることは,実にシンプルな取組です。
  • ・所要時間毎日5分程度
  • ・PCやスマホで専用ウェブサイトにアクセスして
  • ・漢字の「読み」が分かるか分からないかを4段階で答えて
  • ・決して「覚えよう」とせず「見流す程度」
  • ・これを100余りの漢字に対して繰り返す
といった様子です。たったこれだけのことで身につくのか?という疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。でも,これが既存の取組(他地域)でしっかり成果を上げているのです。そもそも寺澤先生は心理学がご専門の研究者で,人の記憶・認識・思考のメカニズムについて深く追究されている方です。その知見を踏まえて,高精度教育ビッグデータを活用したマイクロステップ・スケジューリング技術を開発され,子どもたち一人一人に対して個別最適化された学習環境を提供する,このマイクロステップ・スタディの実践を実現されました。
 
寺澤先生他の皆様によるご研究では,これまで私たちが「当たり前に思っていたことの誤解」も証明されています。例えば,
  • ・英単語学習は1単語を1日に5回以上見ても効果は期待できない。1日せいぜい4,5回。
  • ・1日の中で6回以上の反復学習は実力向上には寄与せず,無駄になる可能性が高い。
  • ・覚える必要はなく,見流す程度の学習で実力は積みあがる。
等の知見を7月のご講演で知り,衝撃を受けました。
 
もちろん,これまでやってきた反復学習を全否定するつもりはありません。やってきたことは必ず,何らかの形で取り組んだ本人に生きて働いていると考えます。ただ,このような研究成果が実証されていると知った以上,これからを生きる子どもたちにはぜひ「その教育効果」をもたらす取組に少しでも挑戦させたい,と考えました。まずは今井小学校の子どもたちが成果を上げることで,さらにこうした取組が広がっていけばよいと考えています。
 
もう一つ,違った視点からこの取組の意義を書きます。上でも示したページの後半にも書いてありますが,マイクロステップ・スタディは決して「暗記学習を推奨しているわけではない」ということをご理解ください。今子どもたちが取り組んでいる「漢字の読み」にしても,授業で取り扱うとそれなりの時間がかかります。子どもによって「知識習得」の速度も量も異なります。45分という限られた時間の授業では,こういう「知識習得」にかける時間は極力減らし,個別学習でできることではなく学級全員でしかできないことにもっと時間を使いたいということです。これからの学校教育で特に大切に育成したい「思考力・判断力・表現力」「コミュニケーション能力」等は,個別学習では身につきにくく,教室で自分以外の友達と話し合う・切磋琢磨する中で培われるものです。マイクロステップ・スタディの導入は,これからの社会を生き抜く上で子どもたちに必要な資質能力を,学校の授業の中でより効果的に高めることにも結びつくと信じています。
 
今井小学校で取り組み始めたマイクロステップ・スタディの実践,今後も折に触れて様子を紹介してまいります。